魯迅は、今がどんなに苦しいからと言って、その苦しみから逃れるために、その苦しみを忘れられるからといって、忘れてはならないと言っているのです。その苦しみこそ、同じ過ちをくりかえさないための人間に与えられた試練なのですから、と。
「人们因为能忘却,所以自己能渐渐地脱离了受过的苦痛,
也因为能忘却,所以往往照样地再犯前人的错误。」
これの日本語訳はこうです。
「人々は忘れることができるから、受けた苦しみから次第に逃れられ、
またそれゆえに、あいも変わらず先人の過ちを型どおりにくり返すのです。」
ここで、魯迅は人間があいかわらず先人の過ちを繰り返すのは、それは人間が受けた苦痛を次第に忘れることができるからだ、と言っています。つまり、先人と同じ過ちを繰り返さないためには、その受けた苦しみを忘れないことだ、と言っています。人はよく、苦しみから逃れるために、よく忘れたいと思うものですが、それがまた同じ過ちを繰り返すことになる、ということに気づいてほしかったのだと思います。
今日の語彙・語句はこうです。
人々;人们renmen
ために;因为yinwei
できる;能neng
忘却;忘却wangque
それゆえ;所以suoyi
自己;自己ziji
次第に;渐渐地jianjiandi
離脱;脱离tuoli
苦痛;苦痛kutong
相も変わらず;往往照样地wangwangzhaoyangdi
再犯;再犯zaifan
錯誤;错误cuowu