2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

加藤嘉一の「中国の論理」にみる現代中国

加藤嘉一さんの『中国の論理』という中国語で書かれた本を読んでいる。彼は北京在住の若手ジャーナリストの筆頭である。その彼が書く中国語の本を読むのはこの本で三冊目だ。 1984年に伊豆で生まれた加藤さんは、山梨学院大学付属高校を卒業後、現役で東大合…

長春の暗闇と梶井基次郎の暗闇

先週の土曜日、中国問題の専門家の報告を聴きに池袋に行ったついでに横浜の次男夫婦と孫を呼び出し、新宿で食事をし、翌日、研究会が終わった後、9月25日に結婚する娘と品川で落ち合い、飛行機までの時間に駅そばのビルで寿司を食べた。 前夜は、次男から、…

100年後の日本、中国、そしてアメリカ

加藤嘉一が日本語でエッセーを書いたという。中国にいて日本のことを想って書いた文明・政治批評だということだが、読んでみたいものだと思っている。彼の中国語で書いた『中国の論理』を読んでみて、彼の中国滞在はそろそろ終わりに近いのではないかと感じ…

8月23日が記念日

8月23日は記念日である。 昨年同日午後2時過ぎ、仙台空港を発ち、日本海そしてロシア上空を経て満州に入り、夕方、まだ残暑きびしい長春についた日である。わずか2時間半の飛行だったが、時差1時間を加えても、それ以上に長く感じられた。 それからの…

中国満州に想いを馳せながら「星も凍る町」を書く

「北狄」354号に書いた「氷の都」の続編ともいうべき「星も凍る町」を書いています。一応、8月1日から1日4枚書き続け、今日20日で80枚書き完結させるつもりです。21日から5日推敲して、60枚くらいまで短くし、締切に間に合わせるつもりです。 「星も凍る…

書斎の窓から見える上弦の月

書斎の西側の窓から西の空が見える。8月6日の午後8時ころ、上弦の月がすっかり暗くなった路面を照らしきれいだった。去年の8月の下旬からわずか4カ月だったが、単身赴任した長春では 月がほんとうの友であった。まだ明るいときの月、星も凍る夜の満月、…

孫文の三民主義から中国革命まで

1911年10月10日の武昌における清朝政府に対する反乱挙兵が全国に飛び火し、清朝が亡び、辛亥革命が成就した。1912年1月1日、南京に臨時革命政府が成立し、孫文が臨時大総統に選出された。 孫文が唱えた三民主義は、「民族の独立・民権の伸張・民生の安定」…

新たな発見「好太王碑の碑文」と日本

私は7月11日に集安市博物館で好太王の石碑を見てきた。そして、石碑の写真を撮り、石碑の碑文の拓本も見てきた。拓本のコピーが資料館に展示されていたが、その中で一番はっきり写しとられていたのは、東京大学文学部に所蔵されているものであることもわか…

戊戌の政変から辛亥革命まで

中国での教え子の卒論のテーマに「戊戌変法と明治維新」を選んだ四年の女子学生がいた。彼女は歴史が好きで、日中の比較政治史を専攻するために大学院志望であった。同じ長春にある東北師範大学に進学することを目標にしていた。 中国では変革とか政変のこと…

天安門広場の水

中国では生水は飲めない。それに比べ、青森の水道水はそこらのミネラルウォーターよりはるかに美味い。夏は、魔法瓶に冷蔵庫でつくった氷を入れ、それに水道水を注ぐ。1分後のそれを飲む。とても冷たくてうまい。咽越し爽やかだ。生きた心地がする。 しかし…

満州とは、ああ満州、あれも満洲、これも満州

満州とは、広辞苑によれば「まんしゅう【満州・満洲】‥シウ中国の東北一帯の俗称。もと民族名。行政上は東北三省(遼寧・吉林・黒竜江)・内蒙古自治区にわたり、中国人自身は一般に東北と呼ぶ。」とある。インターネットのウィキペディアでは「満州(満洲、ま…

中国の祭り

中国には日本の夏祭りのような祭りはないらしい。私の知る限りでは、旧暦の正月の春節、10月1日の国慶節くらいで、旧暦8月15日の中秋節にしても、祭りといえるかどうかあやしい。 学生たちに、青森のねぶた祭の写真をみせて、ねぶた囃子にあわせて踊ってみ…

中国のテレビドラマ

中国の日本語を専攻する大学生は日本のテレビドラマやアニメを盛んにみて日本語を勉強している。日本人のタレントや歌手のことをよく知っている。いまや中国は漢字ではなく簡体文字を使っている。そしてP音という特殊の発音だ。第1声から4声まであり、お…

夏目漱石の『三四郎』のなかでの満洲

漱石の『三四郎』は、明治41年(1908年)の9月1日から12月29日まで朝日新聞に連載された小説である。 この小説は、旧制熊本高等学校を卒業し、東京帝国大学に入学するために上京する車中から始まる。そして、上京して帝大生となった三四郎が東京で新しい知…

魯迅博物館で3冊の本を買う

北京の魯迅博物館を拝観した記念に三冊の本を購入しました。 一冊目は、「魯迅箴言」(=「魯迅の言葉」)です。この本に大江健三郎が「『魯迅箴言』に寄せて」と題して、序文を寄せていますので、紹介します。「魯迅の小説・エッセイの一篇、一篇は、世界の…

北朝鮮の実態

今回の中国の旅でいかに中国と北朝鮮が近い国であるかがわかった。鴨緑江という河は長白山に源を発して、南西に流れて黄海に注ぐ、朝鮮第1の長流である。川が国境であり、河の対岸は北朝鮮なのだ。 4世紀に高句麗の丸都城があった集安市の東端を流れる鴨緑…

中国の高速鉄道

中国のバブルを象徴するのが高速鉄道網の整備です。2010年12月時点で、中国には世界一長い8358Kmの高速鉄道網があり、そのうちの2197Kmは世界最高の営業速度である時速350Kmに対応しているとされています。近年、中国では高速鉄道路線の建設が盛んで、2008年…

中国の交通・住宅・教育事情

中国の道路交通は最悪だ。道路にまで人があふれ、人口が多い分に道路が整備されていないのに、とにかく人民元を乱発しているバブルの中国にあっては、人並みの生活といえば、ローンで平均3LDKの6階建てのマンションの1室を買い(長春の郊外で50万元か…