女房の愚痴

 年金生活を始めて一年がたった。この一年、三男の就職、次男のところの孫の幼稚園の入園、長男のところに孫の誕生、娘の結婚式、甥の結婚式、長男の一時帰国、これに毎月の生活費の赤字補填などで退職金の残り半分を取り崩した。
 年が明け、少ない預金の取り崩しを女房に提案した。普段はおとなしい女房が烈火のごとく怒りだした。
 「退職金はあなただけのものなのか」
 「私は一円ももらっていない」
 「二人の老後をこれからどうするのか」
 「三男が結婚しても、何もしてやれないじゃないの」
 「これからは1円たりともあなたの自由にはさせない」
 積年の恨みつらみを一挙に爆発させて、すごい剣幕で女房の愚痴が続いた。
 そんなわけで、今年は耐乏生活を余儀なくされることとなった。