今日の論語一日一章「詩三百、一言以蔽之」

 今年のノーベル文学賞は日本の村上春樹ではなくて、中国の莫言に決まりました。私はそんなことはともかく日々の書く、読むという自らに課した義務を淡々とこなしていくだけです。

 今日の孔子の「論語」一日一章は、第2編「為政第二」の第2章「詩三百、一言以蔽之」(詩三百、一言もってこれを蔽う)です。
 この章の漢文原文はこうです。
 「子曰、詩三百、一言以蔽之。曰、思無邪」
 この読み下し文は、次の通りです。
 「子曰く、詩三百、一言以て之を蔽う、曰く、思ひ邪なし」
 この章の中国語簡体表記はこうです。
 「子曰,诗三百,一言以蔽之。曰,思无邪。、
 この章の日本語訳はこうなります。
 「孔子は言った。詩は三百篇もあり、そのうちには色々のことを歌ってあるが、ただの一語で包括することができる。孔子は言った。それは、『思ひ邪(よこしま)なし』という語である、と。」
 ここで、語句の解釈はこうである。
 詩三百;今の詩経が、孔子のいわゆる詩と同じものだとするならば、詩は三百十一篇あって、内六篇は文句がない。文句があるのは、三百五篇である。孔子がここに三百というのは、大体の数をいっているのである。
 一言;一句の意味である。
 蔽ふ;蓋うで、包括するという意味。
 思ひ邪(よこしま)なし;詩経の魯頌の駉(けい)という詩の句である。「思ひ」は心。「邪(よこしま)なし」は正、読む人の心を正しくするのである。
 この第2章は、孔子詩経のことを評したことばです。「思無邪」を詩人の心として解く説もあります。