元旦は、届いた年賀状を整理して、自分が出した賀状と照合チェックして、新たに出す必要のある90枚の年賀ハガキを買いに郵便局まででかけ、帰ってきてすぐに印刷して、最終的に本局に投函したのは午後の5時でありました。とにかく、これで一区切りでした。
そのまま、娘夫婦と車で女房の実家へ年始の挨拶に出かけ、帰りは運転代行を呼び、午後の9時に家につきました。代行代は2100円と考えられない料金でした。
魯迅箴言は予定では、30日までに終える予定でしたが、残りの10話を2日に日が変わってから、酔いを醒まして続けました。終わったのは、午前2時を過ぎていました。それでも、「今、できることをやる」という気持で、先に進めることは気持がいいものでした。
魯迅は、散文の体裁について、破綻を恐れず自在に書けといっていますし、作品は諷刺をこめたものでなくればならないとし、嫌味にならないように、一定の麗しさをもたなければならないと言っています。また、散文の作品は、人生の価値あるものを破壊したり、人生の価値のないものを引き裂いたりの破壊性をもたなければならないとも言っています。また、作品のもつ普遍性、永久性、そして完全性こそ作家にとって三首のたからだとし、そこにとどまってしまったら、それこそ終わりだとも言っています。あくまで、読者の心に残っていてこそ、作者は初めて埋葬されるのだとも言っています。
121 散文的体裁,其实是大可以随便的,由破绽也不放防。做作的写信和日记,恐怕也还不免有破绽,而一有破绽,便破灭到不可收拾了。与其防破绽,不如忘破绽。
(散文の体裁は、じつは自在に書けばいいのであって、破綻があってもかまわないのです。作為的に書いた手紙や日記も、おそらく破綻は免れず、一度破綻すれば、収拾不能なほどに壊れてしまうかもしれません。だから、かえって破綻を避けようとするより、破綻を忘れる方がいいのです。)
122 如果貌似讽刺的作品,而毫无善意,也毫无热情,只使读者觉得一切世事,一无足取,也一无可为,那就并讽刺了,这便所谓「冷嘲」。
(もし諷刺の貌をもった作品に、これっぽっちの善意も、情熱もなく、ただ読者に、一切の世事はひとつとして取るに足りず、ひとつとして為すに値しないと思わせるだけだとしたなら、それはまったく諷刺ではなく、いわゆる「冷嘲」というものです。)
123 人说,讽刺和冷嘲只隔一张纸,我以为有趣和肉麻也一样。
124 悲剧将人生的有价值的东西毁灭给人看,喜剧将那无价值的撕破给人看。讥讽又不过是喜剧将的变简的一支流。但悲壮滑稽,却都是十景病的仇敌,因为都有破坏性,虽然所破坏的方面各不同。
(悲劇は、人生の価値あるものを破壊してみせ、喜劇は、その価値なきものを引き裂いてみせます。諷刺もまた、手短にした喜劇の一支流にすぎないのです。しかし、悲壮も滑稽も、みな十景病の仇敵なのです。なぜなら矛先は異なっていますが、いずれも破壊性をもっているからです。)
125 假使世界上真有天才,那么,谩骂的批评,于他是有损的,能骂退他的作品,使他不成其为作家。然而所谓谩骂的批评,于庸才是有益的,能保持其为作家,不过据说是吓退了他的作品。
(もしも、この世界に真の天才がいるとしたら、悪罵の批評は、彼にとっては不利であり、その作品をしりぞけさせ、作家になることを阻むことになるでしょう。だが、いわゆる悪罵の批評は、凡才にとっては有益であり、彼に作家の面目を保たせます。悪罵のせいで作品ができなかった、というわけですから。)
126 凡对于时弊的攻击,文字须与时弊同时灭亡,因为这正如白血轮之酿成疮疖一般,惝非自身也被排除,则当它的确生命的存留中,也即证明着病菌尚在。
(およそ時弊の攻撃においては、文章は時弊とともに滅びるものです。というのも、白血球が出来物を腫らすのと同じく、みずからが排除されずに、その命が残っている限り、病原菌もまた存在することを証明しているのですから。)
127 墨写的谎说,决掩不住血写的事实。
(墨で書いた虚言(うそ)は、血で書いた事実を、けっして覆い尽くせないのです。)
128 我总以为惝要论文,最好是顾及全篇,并且顾及作者的全人,以及他所处的社会状态,这才较为确凿。要不然,是很容易近乎说梦的。
(私はいつも文を論じるとき、最もいいのは全篇に目を通すことで、そのうえに作者の全人格や置かれた社会状況を見回して、初めて明確になると考えています。さもなければ、絵空事を説くことになりかねないからです。)
129 普遍,永久,完全,这三件宝贝,
自然是了不得的,不过也是作家的棺材钉,会将他钉死。
(普遍、永久、完全、この三種の宝は、むろん得がたいものではありますが、しかしまた作家の棺桶を打ち付ける釘でもあり、彼を釘づけにして葬ることもできるのです。)
130 死者惝不埋在活人的心中,那就真真死掉了。
(死者がもし、活きた者の心に埋葬されなかったら、そのときにこそ真に死に絶えたのです。)