魯迅の「故郷」の続き

 魯迅の「故郷」の続きです。
 父はそれを許した。私も嬉しかった。前から閏土の名は耳にしていたし、私と同じ年頃なこと、閏月生まれで、五行に土が欠けているので、彼の父親が閏土と名づけたことなど知っていたからである。彼はわなをかけて小鳥をつかまえることができた。
 私はそれで毎日新年を待ちどおしかった。新年が来れば、閏土も来るのだ。待ちに待った年末になった。ある日、母が私に、閏土が来たよというので、私がとんでいってみると、彼は台所にいた。よく日に焼けた丸顔で、小さい毛の帽子をかぶり、首にはキラキラ光る銀の鎖をはめていた。父親に大事にされていることがよくわかった。彼が死なないようにと神仏に願をかけて、この環でつなぎとめているわけなのだ。彼は人見知りだったが、私にだけはそんな素振りがなく、誰も見ていないときには、私と口をきいた。それで、半日もせずに、私たちは仲良くなった。
 私たちがそのとき何をしゃべったかおぼえていないが、ただ閏土が大張り切りだったことはたしかである。城内に来てから、いままでみたこともないものをたくさん見たと言っていた。―
 
 以上が、故郷で閏土との出会いの描写である。一部の隙もない文章である。