2012年も5月はあとわずか。この5カ月間で4作書き上げた。まず、遙には「女房の家出」と「ペルガモンの鞄を捨てるな」。遙の小説は同人誌雑誌評にはのらないが、「女房の家出」は「腕をあげた」とお褒めの声をいただいた。「ペルガモンの鞄を捨てるな」も一生懸命書いた。少しだけ自信はある。残り少ないこの同人誌に小説を発表できる喜びを感じている。
北狄では、昨年発表した355号「三内の家」(三田文学全国同人雑誌評)と357号「城ヶ倉大橋」(図書新聞同人誌評)がとりあげられた。今年は、358号「北の蛍に魅せられて」を発表し、いままた359号に「エレファント・イアーを飲もう」を書き上げた。この二作については、時系列の構成に注意し、一応書き上げたあとも推敲を重ねた。
「北の蛍に魅せられて」は北狄の合評会において、これまでの「最高の作」との評価も寄せられた。これからに期待している。
「エレファント・イアーを飲もう」もふるさとやそこに住むひとたちのことをこだわって書いた。私たちは山、川、海に囲まれた、私のふるさとであり、現在も住んでいるこの街という地面の上で多くの人に囲まれ、空にまもられ、時間の経過とともに深化しながら、3次元の世界で生きている。そのことを、「なすがままに」との想いをこめて書いた。もちろん田中慎也を意識して、彼とは違った地平の、北の街にいきる男のことを書いたつもりだ。一生懸命書いたからといっていい作品になるとは限らないが、自分の書きたいものがわかってきた作品となったと思う。