「ねぶた師平蔵」の次は「冥王の夢のかなた」

 服部先生の私への遺言がある。「君でなければ書けない小説があるはずだ。君がこれまで生きてきて得たすべてのこと、とりわけ科学と人間のかかわりのことについて、君が書かなければならないことがあるはずだ」と。
 それが、何をさしているのか、わかっている。1986年5月に最初の本『下北半島核景色』を出版した。先生はそれを小説に書きなさい、と言ったのだった。
 いま準備している『ねぶた師平蔵』のあとは、『冥王の夢のかなた』を書くことにする。これを、10月以降の私の渾身の力をこめた仕事としたい。