恐るべき若き遣唐使

 学生に今、人気の流行作家について訊いてみた。郭敬明と韓寒という答えが返ってきた。ついでに、毛沢東と一緒に活動して、唯一、中国名を許されたという日本人の馬海徳について訊いてみた。だれも知らないという。日本語専門の学生だからと言って日本人のことを知っているとは限らない。
 せっかく中国にいるのだから、少しは原語で現代作家の小説を読んでみようと思っていると、日本から北京に現代の遣唐使と名乗る若者がいるとメールが入った。その名は、加藤嘉一
 さっそく、卒論担当の日本の大学院進学予定の学生に訊ねるとよく知っているとのこと。大いに興味を示し、卒論のテーマを京極夏彦から急遽、加藤嘉一に変更する計画にまで進んだ。
 加藤嘉一は東大合格をけって、単身北京大学に留学した俊英だという。現在、北京大の国際関係論の大学院を経て、研究生の傍ら、付属高校で日本語を教えている26歳の若き論客小説家ですでに中国語で5冊もの本が出版されている。
 3年生にも訊いてみると、彼のブログは寮でも話題になっており、知らない学生はいないということだった。加藤嘉一の中国語の文章は中国人以上にうまい文章だと皆、感心しているという。私にも加藤嘉一の文を読んでみたらと言う。
 ここまで言われて黙っていられるわけはない。ついに、本気で中国語に挑戦する気持ちが沸々と湧いてきたのには自分もびっくり。