命がけのバスに乗る

 私の部屋の窓の向こうは自動車整備学校があるのだが、防風林の葉っぱに遮られてよく見えなかった。今朝起きてびっくりした。一夜にして広葉樹が落葉して林の向こうが透けて見えたのだ。ついに冬が来たのだ。朝干した洗濯物も晴れた日でも乾かなくなった。
 昨日の夜のこと。隣の大学の学食で夕食をとった。その帰り道の寒かったこと。身を切るほどの寒さだった。長春市では暖房を入れる日を、市当局が毎年決めるという。今年は10月25日に決まった。私はその、あと10日が待てなかった。
 北向きの研究室は朝から寒いが、夕方はとくに冷え込む。それで授業のない今日、昼休みを利用して学生と一緒に買い物に。目的は電気ストーブだ。金がないので、初めてバスに乗った。警察学校の脇のバス停で待つこと1分。すぐにバスが来た。乗車口の後ろの座席に座ったおばさんが窓から顔を出し、大声で手を振っている。それが車掌さんだと気付く前にバスは発車した。ものすごい運転だった。最初に1元払うだけだ。急発進に急停止。乗客が乗るか乗らないかでバスは動き出す。つり革に必死でつかまって20分。ようやく中東市場についた。バス停などありはしない。降りた途端バスはいなくなる。道路の真ん中に降ろされた乗客は車を避けながら、歩道を歩いて大通りを横切らなければならない。乗っている時も、降りてからも決死の覚悟がいる。 
 120元で電気ストーブを買い、帰りは10元のタクシーにした。二度とバスには乗りたくない。ストーブの方は快調で、ついつい門限過ぎまで研究室で仕事をしてしまった。備えあらば、憂えなしだ。