集安にて

 私はいま、中国遼寧省省都瀋陽に来ております。これで、旧満洲国に属していた東北三省の省都黒竜江省の哈尓濱、吉林省長春、そして遼寧省瀋陽)を全部みることができました。
 10日から昨日まで紀元前3~4世紀に高句麗の都だった集安(大王陵と好大王碑は世界遺産に登録)を訪れ、石碑や大王陵や将軍塚などの遺跡を見学し、国境を流れる鴨緑江に臨み、対岸2百メートルには北朝鮮の人たちが洗濯をし、子どもたちが水浴びをする姿を手に取るように見てきました。
 モーターボートで河を周遊し、50メートルほどまで近づきましたが、土手沿いの道路を自転車をこぐ人たちは皆、厳しい顔付きをしており、どこにも笑顔はありませんでした。痩せた牛に川岸の石を積んだ牛車を曳かせて土手まであがるのに鞭を打ち、牛車の後ろを押す6人ほどの男女の姿が印象的でした。
 10分ほどの遊覧でしたが、路を走っていたのは自転車だけで、この間、たった一台の古ぼけたトラックが緑色の車体を震わせて通ったきりでした。船着き場から100メートルほど西側に鴨緑江大橋がかかっていて、この橋に併設された鉄路を通って、金正日総書記が中国へ渡ってくるということでした。