今日の論語一日一章「父母在、不遠遊。遊必有方。」

 今日の論語一日一章は、第4篇「里仁第四」の第19章「父母在、不遠遊。遊必有方。」(父母在せば遠く遊ばず。遊ぶに必ず方あり)です。
 ここで、この章の漢文原文はこうです。
 「子曰、父母在、不遠遊。遊必有方。」
 また、読み下し文はこうなります。
 「子曰く、父母在せば遠く遊ばず。遊ぶに必ず方あり。」
 さらに、中国語簡体表記はこうなります。
 「子曰,父母在,不远游。游必有方。」
 ここで、この章の日本語訳はこうなります。
 「孔子がいわれた。父母は子を愛して、一時も子のことを忘れるものではない。それ故、子たる者は、父母の存命中は用もないのに遠方へ出かけて父母に心配をかけるようなことがあってはならぬ。もし公私の用務等のためやむを得ず遠方へ出かけることがあるならば、必ず行く方向を告げて、父母が必ず己の居所を知って憂うることなく、また召せば必ず行かれるようにして置くべきものである、と。」
 この章の語句・語彙の注釈はこうです。
 遠く遊ぶ;遠く他郷へ旅に出かけることをいいます。
 方;方向のことです。
 この章は、人の子たる者は常に父母の心を忘れてはならぬことを述べたものです。
 親に心配をかけないという方面から親に事(つか)える道を孔子が説いた章です。