竹内好とアジア主義

 私が尊敬する竹内好魯迅の翻訳で知られる中国文学者)のアジア主義について考えさせられています。欧米からの侵略にアジアを守るという考え方は理解できるのですが、竹内が戦前に太平洋戦争に賛美を送ったという事実にショックを受けています。
 私が実際に竹内好に会ったのは、昭和44年の頃であり、彼の晩年に近いときでした。もちろん竹内好帝国主義を否定し、戦争そのものも否定はしていましたが、アジアとりわけ中国との関係については、アジア主義の考えを貫いていました。
 現在の日本を考えた時、中国そしてアメリカとの関係を抜きに将来はあり得ず、それだけに竹内好アジア主義についての検証が必要だと思うのです。