中島岳志「アジア主義」

 今朝の東奥日報文化欄の新刊紹介で、中島岳志著「アジア主義」が取り上げられています。中島はこの本で2003年3月のアメリカのイラク攻撃に衝撃を受け、翌年4月に、ファルージャの町に爆弾を投下し一般市民を巻き添えにし犠牲にしたことから、戦中に東条英機首相に反発し割腹自殺した政治家中野正剛の「今後の来るべき数世紀は、有色人種が白人の覇絆より脱すべき時代なり」を思い起こし、アジアが本格的に連帯を構想すべき時期がやってきたと考え、歴史認識問題を乗り越えて、日本がアジア諸国と連帯することのためには、「なぜ今、アジア主義なのか」と問い直すことから始めています。
 中島は、詩人ヴァレリーの「湖に浮かべたボートをこぐように、人は後ろ向き未来へ入っていく」を引用して、過去をみつめて、未来へと前進するために、「アジア主義」に焦点をあてています。
 まず最初にとりあげたのが、竹内好の「アジア主義」であり、竹内好アジア主義に何を見たのか、を検証することから始めます。