今日のいじめ、虐待の問題を考えて、私はいくつかの小説を書いてきました。子どもは親の脊中をみて育ちますが、なかには親のない子もいるし、離婚、シングルマザーの片親の子もいます。それだけに、天性と家庭環境とともに、理性をどう醸成するのか、それは読書によって醸成されるとも考えます。それが、天性にも恵まれず、家庭環境も劣悪だった子が、人としてまっとうに生きていくためには必要だと思うのです。それが、私の小説を書く動機であり、そうした人たちに読んでほしいと思っています。
「儿童的行为,出于天性,
也因环境而改变,所以孔融会让梨。
打起来的,是家庭的影响,
便是成人,不也有争家私,夺遗产的吗?
孩子学了样了。」
これの日本語訳はこうです。
「児童のやることは天性のものだが、環境によっても改まる。
だから、孔融は梨を譲ることができたのだ。
喧嘩するのは家庭の影響である。
大人は身代を争い、遺産を奪い合うではないか?
子どもはそれを学んだのである。」
ここで、魯迅は子どもの性格は天性のものだが、家庭環境によっても変わるものだと言っています。つまり、子どもが喧嘩するのは、大人が身代争いや、遺産相続争いをしているのをみて、それを真似ているのだ、と言っています。現代では、親に虐待された子は、自分が親になった時、その子ども虐待する傾向にあるといわれています。
今日の語句・語彙はこうです。
児童;儿童 ertong
行為;行为 xingwei
よるもの;出于 chuyu
天性;天性 tianxing
だから;因为 yinwei
環境;环境 huanjing
改変;改变 gaibian
所謂;所以 suoyi
譲る;让 rang
梨;梨 li
喧嘩;打起 daqi
家庭;家庭 jiating
影響;影响 yingxiang
大人;成人 chengren
争う;争 zheng
身代;家私 jiasi
奪う;夺 duo
遺産;遗产 yingxiang
子ども;孩子 haizi
学ぶ;学 xue
ここで、孔融(こう ゆう、永興元年(153年 - 建安13年(208年))は、中国後漢末期の人。字は文挙。孔子20世の孫に当たる。出身地も遠祖の孔子と同じく、青州魯国の曲阜県である。父は孔宙、兄は孔襃。子の名は不詳。娘は羊衜(羊祜の父)の妻。