放射能汚染の現状と対策は

 
Q;放射能汚染の状況・対策は? 
       2011年3月11日の福島第一原発事故により東北と関東の全域及び太平洋側の海洋が放射性物質に高濃度汚染されました。汚染の原因は、大気中に放出された放射性物質と海洋中に放出された放射性物質によるものでした。
大気中に放出された放射性物質については、ベントや水素爆発、それに原子炉建屋の破壊によって大気中に放出拡散され、その大半は太平洋へ放出されたとみられていますが、3月15日と21日には日本各地にも放射性物質が大規模に降下したとみられ、土壌、河川、海洋が汚染されました。その結果、各用水、農畜水産物から放射能が検出されました。また、福島沖でとれた魚から高濃度の放射性物質が検出されました。2011年4月29日時点での福島県内の航空モニタリング調査によれば、セシウム137半減期30.1年)の蓄積量は最大1470万Bq/㎡となり、チェルノブイリ原子力発電所事故の計測結果の340Bq/㎡を大幅に超えていました。土壌中に沈着したセシウム134半減期2.1年)とセシウム137福島県の東側で特に汚染が激しく、北は青森から南は静岡までのおもに太平洋側で検出されました。これは、2011年3月1516日と2123日の2回ピークとなって観測されています。
放射性物質によって汚染された土壌については、2012年1月1日施行された「放射性物質汚染対処特別措置法」により除染が進められてきましたが、汚染された土壌を運び込む中間貯蔵施設の用地確保が進まないのと、汚染土壌から汚染物質を除去する技術開発の放棄により、除染計画を201310月に白紙撤回し、除染対策は大きく後退しています。
海洋中に放出された放射性物質については、比較的汚染レベルの低い汚染水は意図的に海洋放出されたほか、高レベル汚染水も建屋の配管や亀裂から漏出し意図せず放出されています。しかも、2014年2月19日には、施設内の汚染水貯蔵タンクから100トンの高濃度(1リットル当り2億3千万㏃)汚染水が漏出しています。この汚染水に含まれるストロンチウム90半減期28.8年)は、日本の飲料水の基準の380万倍の濃度でした。ストロンチウムはカルシウムと同じく体内に取り込まれて、骨のガンや白血病を引き起こすといわれています。
現在は、事故を起こした4基の原発に流れ込む多量の地下水の処理が問題となっています。汚染水が海に流れ込むのを防ぐために、貯水タンクに貯蔵していますが、汚染された地下水が毎日、300トン海に流れ出しています。海に近いところで検出されたストロンチウム90は1リットル当り500万㏃でした。海洋への汚染水の流出はアメリカをはじめ世界からも非難の声があがっています。
こうした状況から、我が国は一刻も早く福島第一原発の事故を起こした原発廃炉作業を行わなければなりません。