外務省の情報収集

 先週の土曜日、長春の日本人会の忘年会に出かけた。東北新幹線の全線開通に心を動かされ、望郷の念に駆られて語学留学中の先輩とでかけたのだが、同じテーブルの外務省の職員に一つ質問してはぐらかされ、もう一つは質問し損ねた。
 前者は、語学研修先の二年間の派遣大学がなぜ北京大学ではなく、吉林大学なのか、ということだった。私は直感で、研修と同時に北朝鮮関係の情報収集の目的があるのではと思ったのだ。何せ、吉林省北朝鮮と国境で接している省で、朝鮮族の多い延辺自治区も省域にふくまれるからだ。しかも、9月の中旬、金正日総書記が長春へ鉄路で訪れ、胡錦涛主席と会談しているのだ。この会談の模様は、事前も会談日にも、いっさい地元では報道がなく、数日後にテレビで報道された。私のところにも日本からのメールで、金正日総書記が吉林市経由で長春市に入ったとの情報があったくらいですから、当然に外務省職員なのですから、情報収集しているものとして、「忙しかったでしょう」と訊いても、「中国と北朝鮮の関係のことですから、直接的には何もなかった」とはぐらかされました。
 例の尖閣列島の漁船衝突事件をきっかけとする反日行動の関係でも当然に東北地方の有名大学が集中する長春市内の動向はレポートしなければならないはずです。それらについても詳しく訊くことはできませんでした。ただ、「二年間は、冠婚葬祭以外、帰国することはまかりならない」ということと、「三・四週間に一度、研修レポートを提出する」義務が課せられているとのことでした。
 もう一つの質問は、外務省で加藤嘉一の存在をどのように捉えているのか、ということでした。知らないはずはない、と思いましたが、二人とも瀋陽からきた領事館の外務省職員と挨拶回りに忙しく、それを訊くのをつい失念してしまったのでした。
 いずれにしても、参加した日本人の情報収集に努めていたのは間違いがありませんでした。二人とも「外務省」とは言わず、「ウチの会社」と言っていたのが、妙に頭に残っています。