台風来襲前夜、成田に到着

 帰国する18日の朝、張さんが10時きっかりにホテルに迎えに来てくれました。チェックアウトのあと、彼女は通りまで出てタクシーを拾いに走り、ひと呼吸する時間でタクシーの助手席に乗り、ホテル前まで私を迎えに来てくれました。ここまではすべて順調でした。しかし、大連駅から大連国際空港まで約20キロ、前日長春から到着したときとは打って変わって、繁華街も郊外も渋滞が続いていました。13時出発なので11時にはつけると思いきや、とても1時間では着かないような感じでした。しかし、そこは大連の老練のタクシードライバーはさすがです。
 映画さながらに追い越しをかけ、それが駄目ならと2車線の側道を走ってどんどん前に行ってくれました。張さんが、私が国際線で日本に帰国するので急いでくれと頼んでくれたからでした。3年生の私の教え子だった彼女はガイドとして十分通用すると思ったものでした。その結果、10時45分に空港へ到着できました。とても幸運だったと思います。
 大連発の日航機は予定通り、16時52分、ほとんど揺れることもなく、静かに成田空港に着陸しました。
 私が成田エクスプレスで品川駅に向かう途中、娘から東京駅で降りるようにメールが入りました。銀の鈴で待ち合わせし、大丸の12階で暑気払いの鰻をたべました。娘の夫も職場から駆け付けてくれました。三人で梅のうな重を食べた後、私は婿殿にバッグをもってもらい、品川プリンスホテルに向かったのです。台風接近を予報するニュース文字が山手線の車内電光掲示で流れていました。
 私は2便の飛行機を1便に変えて、台風接近前に家に帰ることに決めて、ホテルのチェックインを済ませ、娘たちと別れたのでした。
 案の定、午前6時半の品川駅前は小雨がぱらつき始めていました。そして、便を変更してもらい、搭乗して離陸を待つ間に激しい雨が空港を襲い始めたのでした。そんななかで飛行機は離陸し、私は幸運に恵まれ、午前10時には無事帰宅することができたのでした。