庭のナナカマドも散り梅雨空です

 青森市の誤謬は、3月11日の大震災の被害はなく、市民に被災者はいないと規定したことであります。今回の高速道路無料(6月20日から1年間)という国交省の通知の「被災者支援」適用に当たり、「青森市に被災者はいない」にもかかわらず、「大震災で被災した被被災者を2親等以内の親族をもつ市民」を市の独自の判断で「被災者とみなし」たことです。
 これでは、全国の市町村が青森市の判断と同じ内容の「被災地の被災者の関係者を被災者とみなす」という規定を設けると、しかも当該市民の関係者(二親等以内の親族という限定もはずす)の被災者基準を被災地の被災証明(全壊・半壊・一部壊をとわずに被災証明を出している被災自治体が多い)」という確認だけで、被災者証明を発行するとすれば、それだけで東北管内の高速道路を発着するすべての高速道路が無料となってしまいます。
 さすがに、国交省の道路局の高速道路課の担当者も「東日本大震災を踏まえた高速道路の料金について」(6月8日プレスリリース)の趣旨を逸脱したもの(担当官の私的見解)と言わざるをえないと懸念を表明しています(青森市当局からこの件に対する問い合わせもないとも言った)。
 青森市は、大震災による停電にともなう損害を認めて住民を被災対象者とした八戸市三沢市をはじめ、平内町や外ヶ浜町を暗に肯定できないやり方として否認しつつ、自らの被災者認定方法を全国に先駆けた善政として自画自賛せんばかりです。しかし、国交省から「被災者」でない市民を「被災者とみなし」て制度を勝手に適用させている青森市に対して、この後どんな影響がでてくるのか思料したのでしょうか。
 国交省の道路局のもっている市町村に対する影響は計り知れないものがあると思います。いずれ青森市国交省からお叱りをうけないことを祈るばかりです。
 青森県は6月24日、総務部長名の通知で、「停電及び燃料不足それ自体は、東日本大震災による被害には該当しないこと。なお、停電または燃料不足により物品が損傷した等の被害が認められる場合には、被災者にかかわる…対象となること」で、停電によって物品等の損害等(精神的身体的な損害もある)がある場合は被災者とするとの見解を公式に表明しています。
 このことからも、青森市が停電により被害を蒙った市民に被災証明書を発行すれば済むことなのに、それをあえてしないで、逆に「被害を蒙っていない被災者でない市民を被災者本人であるかのようにみなして被災者証明を発行する」という愚挙に至ったのだと思います。
 誰が見てもわかりそうなからくりをしてまで、市費の持ち出しをしなくていいように、本来の国交省の主旨から逸脱した規定を持ち出しているのは間違いがないようです。
 今回のことは、国の通知が「被災者本人への支援策」であったのに、青森市が「被災者でない市民が被災した被災地に住む親族への支援策」と誤認したことがすべてです。このことが、本来、大震災による停電等により被災した市民への支援を放棄し、こののち市の道路行政への悪影響を及ぼすとすれば、これは大変なことだと思いますし、いずれ30万市民は今回の悪政に気付かされる筈だと思います。