中国の高速鉄道

イメージ 1  中国のバブルを象徴するのが高速鉄道網の整備です。2010年12月時点で、中国には世界一長い8358Kmの高速鉄道網があり、そのうちの2197Kmは世界最高の営業速度である時速350Kmに対応しているとされています。近年、中国では高速鉄道路線の建設が盛んで、2008年の世界同時不況の対策として、2008年に決定され、2010年末までの内需拡大のための公共投資策として積極的に資本投資されてきたものです。それまでの中長期鉄道網計画(2006年決定)の建設スピードを「拡大内需十項目措置」(2008年)として早め、投資額を08年に3300億元、09年には6000億元、2010年には8235億元と増加させています。
 私は2010年7月に開通したばかりの上海-南京、南京-上海-杭州間で和諧号という高速鉄道に乗りました。そして、昨年のクリスマスには長春ハルビン間を和諧号に乗った経験を持っています。今度の旅では、瀋陽-北京、北京-長春間を高速鉄道を利用しました。乗客はみな中産階級の人たちでした。
 高速鉄道普通列車に比べ、はるかに高級感のある電車で日本の新幹線ほどではありませんが(どこかチャチな感じのする客車です)、中国の農民・学生・庶民の乗れる電車ではありません。
 中国政府がこの高速鉄道網の整備に莫大な国家予算を投入する背景には、建設によって雇用が創出され、鉄鋼セメントなどの建設資材の需要を生み出す景気波及効果もあるとされています。
 しかし、こうした過剰な資本投資とバブルと言わざるを得ない無理な内需拡大策による高速鉄道網の整備が、7月23日の高速道路事故につながったとも言えるのではないでしょうか。
 とにかく、中国は海外技術を盗むのに優れているものの、質より量を重んずる結果が、今回の事故の原因の一端とも思われます。
 写真は、集安の好太王碑です。風化を防ぐため、ガラスの堂のなかに安置されています。