孔子について

 十月の下旬から、孔子の伝記と論語の勉強を始めている。孔子は釈迦、イエスソクラテスと並ぶ、四大「人類の教師」の一人だが、約2千5百年前の中国で何が起こっていたのかわかった。論語史記詩経などの文献を読むうちに、いまの世界に共通する生と死、政治、人間、愛と性、家族、成功と挫折、欲望と嫉妬、名誉と地位、差別と階級、誠と仁、抑制と自制、そういったことが現代でもまさに変わりなく続いていることがよくわかった。
 世界の人口70億人のその5分の1がいくつもの民族を抱える14億人の中国人なのだ。それらの人たちは中国本土はもちろんのこと世界のほとんどの国にチャイナタウンをつくって住みついている。
 かれらは2千5百年も前から、地球の中心が中国と中国人であることを知っている。いつかは、すべての中心思想に自分たちがなるのだと信じて疑わないのだと思う。
 新しい孔子の伝記を読んでいて、そんなことを感じた。それにひきかえ、私たち日本人は後世に何を残すのか。62歳になった私には弟子の一人もいない。しかし、37年連れ添った女房と4人の子供、そして2人の孫がいる。それだけだが、それより勝るものはない。
 天命に至るまで、ひとりの弟子ができなくてもいい、家族を愛し、その家族に愛され続けさえすれば。それが私の天命なのだと。