曲阜市に竹川さんの「孔子」を献じる

 泰山に登ったあと私たちは麓の泰安市からバスで孔子の故郷曲阜に向かった。夕闇の中、6時半に城壁に取り囲まれた小さな町の曲阜市に着いた。孔子廟孔子府などの所謂世界遺産の三孔などのある城壁の中には三階建て以上の大きな建物は建てられないことになっており、城壁の外でも大きな建物は建築中のシャングリラホテルだけという市内は灯りそのものも低くくすんでいた。ネオンなどはいっさいなかった。
 この街で、落ち着いて孔子論語の研究をしたらどんなにいいか、そう思ってホテルの部屋でくつろいだ。
 孔子は魯の首都であるこの町から18キロ離れた村で生まれ、学問と仕官を志して、この都へやってきたのだ。
 いまでもこの町は孔子をめぐる観光の町として、孔さんと孟さんが姓の大半を占めるということだ。
 三つの施設をバスで回り、施設の中を歩いて回った。みやげ物屋、ハンコ屋やら掛け軸屋などが並んでいた。おもちゃ屋、駄菓子屋もたくさんあった。
 2500年前の気の遠くなる歴史の重みを感じながら、私は孔子像が立つレストランで昼食後、バスに乗り曲阜をあとにして、青島へ向かった。曲阜の市役所に竹川さんの「孔子-漂白の哲人」を献じて。