佐伯泰英という作家 今日の論語一日一章「色難」

 昨日、時代小説家の佐伯泰英の『偕擽荘だより』を読んだ。偕擽荘とは岩波書店の熱海の別荘だったところだが、彼がそこを買い取り、改修復元して現在も仕事部屋としている相模湾を一望にできる建物のことだ。
 彼は40年前、スペインに滞在していた写真家の頃、冬の暖をとるために先輩の文学者から反故になった原稿用紙をもらい、それを燃やして寒さをしのいだ経験があるという。その彼が、2004年から一日一節(原稿用紙で20枚)、四節(起承転結)で一章、20日かけて五章の小説を、毎日毎日、雨が降ろうが、雪が降ろうが、台風が来ようが、真夏日で冷房が故障しようが続けているという。彼の勤勉ぶりはたいしたものだ。この10年でざっと10億円を稼いだということは称讃とともに尊敬にも価する。孔子に学ぶものとして、佐伯泰英のことも念頭におきたいものだ。
 私もまけないように論語一日一章を続けたいと思う。

 さて、今日の孔子論語一日一章は、第2篇「為政第二」の第8章「色難」(色難し)です。
 この章の漢文原文はこうです。
「子夏問孝。子曰、色難。有事、弟子服其勞、有酒食、先生饌。曾是以爲孝乎。」
 原文の読み下し文はこうなります。
 「子夏孝を問ふ。子曰く、色難(かた)し。事あれば弟子(ていし)その労に服し、酒食(しゅし)あれば先生饌(せん)す。曾て是を以て孝と為さんや。」
 この章の中国語簡体表記はこうなります。
 「子夏问孝。子曰,色难。弟子服其劳,有酒食,先生馔。曾是以为孝乎。」
 ここで、語句の解釈、説明はこうです。