今日の論語一日一章「誰能出不由戸」

 今日の論語一日一章は、第6篇「雍也第六」の第15章「誰能出不由戸」(誰か能く出づるに戸を由らざらん)です。
 この章の原文はこうです。
 「子曰、誰能出不由戸。何莫由斯道也。」
 この章の読み下し文はこうなります。
 「子曰はく、誰か能く出づるに戸を由(よ)らざらん。何ぞ斯の道に由ること莫(な)き。」
 また、この章の中国語簡体表記はこうです。
 「子曰,谁能出不由户。何莫由撕道也。
Zǐ yuē, shuí néng chū bùyóu hù. Hé mò yóu sī dào yě。」
 この章の日本語訳はこうなります。
 「孔子が曰われた。何人も家から出るのに門戸に由らない者はない。しかるに、何故に事を行うのにこの道に由らないのであろう。事物にはかくあるべき道理があって、人は必ずこれに由らなければならないのに、誠に不思議なことだ。
 ここで、この章の語句・語彙の解説はこうです。
 由る;行くこと。
 戸(こ);門戸で、出入り口。
 何ぞ莫(な)き;怪しんで歎ずるのである。
 斯の道;事物にかくある道理があることをいう。
 この章は、人が道を離れるのを嘆じたのである。
 洪興祖が曰うには、「人は家を出る時必ず門戸に由ることを知って、事を行うときは必ず道に由ることを知らないが、これは道が人に遠ざかるためではなくて、人が自ら道に遠ざかるのである、と。」