今日の孔子の論語一日一章は第2篇「為政第二」の第一章「爲政以徳」(政を為すに徳を以てなす)です。
第2編「為政第二」は、まず学んで、後に政を為し、民を化すべきものであるということから、学而のあとに為政をもってきたといわれています。この篇は24章からなっています。
この章の漢文原文はこうです。
「子曰、爲政以徳、譬如北辰居其所、而衆星共之。」
また、これの読み下し文はこうなります。
「子曰く、政を為すに徳を以てすれば、譬へば北辰其の所に居て、而して衆星の之に共(むか)ふが如し。」
さらに、この章の本文の中国語簡体表記はこうなります。
「子曰,为政以德,譬如北辰居其所,而众星共之。」
この章の日本語訳はこうなります。
「孔子が云った。『人君が徳を己に修めて、これを推して一切の政務を行うならば、自然に天下がこれに帰する。譬へば、北極星が己の居所に止まって動かなくても、多くの星が周囲を回転してこれに帰向するがごとくである』と。」
ここで、語句の解説をします。
政(まつりごと);もともとは、人の不正を正す所のものである。
徳;道を行ってこれを体得したもの。
北辰(ほくしん);北極星。北極で、天が回転する中軸になっている。
其の所に居る;じっとして動かぬこと。
共(むか)ふ;向う。
この章は、徳治主義の効果を述べたものであります。「上に立つ者がまず己の身を正して下を率いる」というのが儒教の主義であることがわかります。