ようやく終わった小説講座

 14日の青森中央学院大学の図書館カルチャー講座はようやく終わった。
 遙の「ハルビン中央大街」を提稿してから、このひと月、初めて文学とは何か、小説作法にはどんなことがあるのか、正面から向き合ってみた。いい文章・こころに残る文章、文体とは作品にどんな影響があるのか、近代文学の歴史、日本文化と日本文学の特徴、作者の目、文章表現と描写、などについて考えてみた。
 大学での7年間、鉄だ非鉄だと金属の液体と固体ばかり相手にしていた自分が何であったのか、つくづく考えさせらりたりもした。偏見と先入観に左右され、ジグザクの半生を顧みることもたびたびであった。それだけに、いいひと月を過ごせたと思う。
 1カ月に1回の講座のトップバッターであったが、主催者の意図は小説を書くノウハウをわかりやすく教えてほしいというものであったが、結局、自分は小説を書きたいという衝動にかられてただ書いているということを言うだけで精一杯だった。小説とは何か、自分探しの旅について、少し語っただけで、1時間が過ぎていた。
 小説を書く上での心構えというか、小説を書く基礎の基礎の基礎を少し語り始めた時、8時6分なのでそろそろまとめてくれ、紙がとどいた。
 ノウハウどころか、言いたいことの1割も言わないうちに8時15分がきて講座を終えてしまった。
 高座が終わって、受講生の中から、5人ほどに声をかけられた。たった2人だけだったが「とってもいい話だった。感銘した」と言われ、主催者の困惑顔とは別に嬉しかった。
 それでもつまらない話を最後まで聞いてくれた17人の学生に同情しながら、教室を出ていく後ろ姿を見送っていると、これでようやく秋が終わるのだと実感した。
 今日から冬籠りをして小説書きに専念します。