今日の論語一日一章その2「君子食無求飽、居無求安、」

 今日の孔子論語一日一章その2は、第1篇学而第一の第14章「君子食無求飽、居無求安」です。
 この章の漢文原文はこうです。
 「子曰、君子食無求飽、居無求安、敏於事而愼於言、就有道而正焉、可謂好學也已。」
 次に、読み下し文はこうなります。
 「子曰く、君子は食飽くことを求むるなく、居安きを求むるなく、事に敏にして言に慎み、有道に就いて正すを学を好むといふべきのみ。」
 この章の本文のみの現代中国語簡体で表記すればこうなります。
 「君子食无求饱,居无求安,敏於事而慎於言,就有道而正焉,可谓好学也已。」
 この章の日本語訳の意味は次の通りです。
 「孔子は言った。学に志す者が、食物に飽くことを求める暇もなく、安楽な住処を求める暇もないほどに一心に学に向かい、とかく不足になりがちな知行の方をすばやく勉めようとし、とかく過ごし易い言語の方面はよくよく考えて発するようにし、それでもなお不十分と考えて、親しく知行や言語の標準となる有道者について正すならば、学を好む人であるということができる、と。」
 ここで、この章の重要な語彙単語は次の通りです。
 求むるなし;この「なし」は暇なしという意味に解する。
 敏;敏捷の意味。
 事;道を求める事で知行等をさす。
 就く;接近する意。
 有道;道徳ある人。
 也已;已はノミと読むが、ここは也と連接して文の終りに用いた。

 この章は、孔子が言った言葉として、君子が学を好む心のことを述べて、人を勉励させようとするのである。安と飽を求めないのは、心が「事に敏にして、言に謹む」に専らなためであり、事に敏にして言に慎んでもなお自らよいと思わなければ、必ず有道(の先生)について(自らを)正すことになる。すべて学を好んで窮(きわま)りなき心があればこそである。