今日の論語一日一章は、第4篇「里仁第四」の第17章「見賢思齊焉、見不賢而丙自省也」(賢を見ては斉しからんことを思ひ、不賢を見ては内に自ら省みる)です。
これの漢文原文はこうです。
「子曰、見賢思齊焉、見不賢而内自省也。」
また、これの読み下し文はこうなります。
「子曰く、賢を見ては斉しからんことを思ひ、不賢を見ては内に自ら省みる。」
次に、この章の中国語簡体表記はこうなります。
「子曰,见贤思齐焉,见不贤而内自省也。」
ここで、この章の日本語訳はこうなります。
「孔子がいわれた。賢くて徳のある人を見ては、己もまたこの人のようでありたいと思い、賢くなくて徳のない人を見ては、己もまたこの人のようではないかと恐れるものだ、と。」
この章の、語句・語彙の注釈はこうです。
賢;有徳の人のことをさしています。
不賢;無徳の人のことをいっています。
内;心のことです。
自ら省みる;自ら反省することをいいます。
この章は、孔子が常に我が身を反(かえ)りみて人格の完成につとめるべきことを述べたものです。
胡寅(こいん)は「他人の善悪の不同なのを見て我が身を反省しないことのない者は、徒に人を羨(うらや)んで自棄に甘んずることもなく、徒に人を責めて自ら責めるのを忘れることもない」と曰っています。