今日の論語一日一章は、第5篇「公冶長第五」の第6章「道不行。乘桴浮于海。從我者其由與。」(道行われず。桴に乗りて海に浮ばん。我に従ふ者は其れ由か。)です。
この章の漢文原文はこうです。
「子曰、道不行。乘桴浮于海。從我者其由與。子路聞之起喜。子曰、由也好勇過我。無所取材。」
また、この章の読み下し文はこうなります。
「子曰く、『道行われず、桴に乗りて海に浮ばん。我に従ふ者は其れ由か。』子路之を聞きて喜ぶ。子曰く『由や勇を好むこと我に過ぎたり。取り材る所なし』と。」
さらに、この章の中国語簡体表記はこうです。
「子曰。道不行。乘桴浮于海。从我者其由与。子路闻之喜。子曰,由也好勇过我。无所取材。」
ここで、この章の日本語訳はこうなります。
「孔子が曰れました。『常にわしを用いる者なく、わしの道が行われないから、桴に乗って海に浮かんで海外へ行こうと思うが、その時にわしに従って行く者は由(子路の名)だけであろう。』子路はこれを聞いて、先生が数の多い門人の中で己一人を挙げられたことを喜んだ。孔子はこれを喩して曰われた。『由は勇を好むことはわしに過ぎているが、道理を裁って義にかなうようにすることができない。』」
今日の語句・語彙の注釈はこうです。
海に浮かぶ;海外の国に行くことをさしています。
勇;このようにせねばと思い切る勇気のことです。
所なし;能わずというような意味です。
材;栽と同じで、はかることをいいます。
この章は、孔子が道の行われないのを歎じ、また弟子を激して進ませようとしたものです。
「勇を好むこと我に過ぎたり、取り材る所なし」とは、揚げてこれを抑え、激してますます向上させようとしたものです。