中国の学生気質

 私はいま東北師範大学人文学院という半官半民の大学にいます。9月6日から週20時間も授業しているというに、やっと昨日16日に雇用契約書なるものを交わし、正式にここの大学の外国籍の教師に任じられました。しかし、私はこれまで文学を学問として学んだことも、日本語学としての文法についていささかも顧みることなく小説をかいてきました。国語教育なかんづく学生教育に関しても全くの素人ですので、何をするのも初めて、そういう意味では新鮮で、張り切って勉強しています。そんなわけで、現在のところ執筆に充てる時間の余裕などありません。
 この2週間教壇に立ってみて、中国の現代の学生気質なるものが少しずつ分かってきました。ここの大学は長春では3番目(吉林大学、東北師範大学、いづれも国立大学)の大学で、中国全土で350ほどある民営大学の中では第3位だと自称しています。しかし、センター試験で国立大学に入学を許可されなかった3・5流の学生が集まる大学には間違いはありません。
 そんなわけで、それなりの能力の学生が1万人も年額1万4千元(寮費も含めている、寮は賄いつきではない)(親の年収のほぼ半分)を払って授業を受けています。彼らの約半数は一人っ子。残りは、二人兄弟。1から2年生は週4日間は朝7時半からの30分と夜6時から8時までのを自習時間にとして強制されています。指導員が厳しくチェックしています。3年になると少し自由が与えられますが、男女別寮の全寮制で互いに入室禁止です。それなのに、男女交際は自由。3・4年生ともなると公然とカップルがキャンパスを手をつなぎ、肩を抱いて歩いています。近くの安宿に泊って、朝帰りのカップルも多いそうです。長春市内の学生は金曜日の夜には家に帰ることも許されています。3流大学でも一応彼らはエリートなのです。
 彼らの日本語の能力は小学生以下でも、心と体は立派な大人であるのは間違いがありません。それだけに、侮ってはいけないのです。それにしても日本語の勉強がこんなに面白いとは、まったくの意外でした。