今日の箴言は「回复故道」です。

 今日の箴言も、当たり前と言えば、当たり前なのですが、なかなか意味深い、考えさせられる内容です。
 
 「回复故道的事是没有的、一定有迁移.、
   维持现状的事也是没有的、一定有改变。
   有百利而无一害的事也是没有的、只可权大小.。」
 
 これの日本語訳はこうです。
 「(河の流れは)もとの河筋に戻ることはなく、必ずや移りゆく。
  現状が維持されることもなく、必ずや変わりゆく。
  百利あって一害なしということもなく、ただ利と害の大小が測れるだけだ。」
 
 この箴言は、1935年の『且介亭雑文二集』に収められているものですが、きわめて重要な示唆に富む内容です。日本は戦後、高度成長から低成長、バブル期、マイナス成長、世界同時不況、デフレスパイラルなどを経験してきました。そして、昨年の3・11を契機に日本は滅びの過程に入っているともいえます。
 日本という河は、いまやもとの河筋にもどることはできないのです。日本国民は、いまだに過去の高度成長の幻影に惑わされ、いつまでも繁栄が続くものと信じ切っているように思えます。すくなくとも、現状が維持できるものと思っているようです。これが、まったくの幻影であることが、この箴言によっても明らかです。
 住むところを奪われ(大震災と福島原発事故によって)、食べるものを自らの手で放棄して(TPP参加で日本農業はなりたたなくなることによって)、失業リストラとともに賃金は大幅に切り下げられ続け(ものづくり工場が低コストを求め海外移転することによって)、日本の向かうべき河筋は滅亡の海へ向かって移り変わっているようです。もはや利だけを求める欲望の河から脱却すべき時だと想うのですが、どんなものでしょうか。
 滅亡を回避する道はただひとつです。格差を解消し、貧富の差をなくすために、国民が平等に生活水準を落とすしかないと思います。悪しき平等主義だと罵倒する前に、国会議員の年収を400万円程度にし、それを基準にすべての国民へ「清貧の思想」を定着させるべきだと思います。私の経験からすれば、夫婦二人で年収400万円あれば、十分生活できます。こどもの教育費も高校までは義務教育とし、大学は奨学金制度を完備すればいいのです。
 この箴言を読んで、そんな風に考えさせられました。