長春の日本人会忘年会

 中国には忘年会はないらしい。それにクリスマスもないようだ。ただ、学生の話だと、クリスマスには仲のよい友達にリンゴをプレゼントするだけだそうだ。なぜ、リンゴなのかはよくわからない。リンゴは高いので、ミカンやバナナの人もいるそうだ。
 さて、クリスマスはともかく、去年までは毎年11月から12月にかけて、重なり続く忘年会によって、財布と胃袋が悩まされてきただけあって、西洋暦に1カ月余遅れる中国暦に感謝の気持ちがあった。しかも、声がかからないの良いことに、11月中旬からの忘年会シーズンの到来すら忘れていた。
 しかし、わずかの給料でも、大学キャンパスに閉じこもり生活で出費の少ない毎日を送っている身にとって、12月師走の便りが日本から届くと一挙に寂しさが広がった。すでにカードには1回200元(2600円)として40回分の忘年会費用が貯まっている。帰りの飛行機は1年オープンのチケットだし、元を円に換金したところで端金にしかならないというわけで、使いきることにした。まず、買ったのは2300元の電子辞書だ。しかし、あとは何も買うものがない。冬ものだって送ってもらったし、たいがいの冬ものは買ったほか、あとはもらったりした。辛抱して、端金を日本に持ち帰ったところで気分は悪い。そこで、給料は全部使ってしまうことに決めた。
 最初に考えたのが、旅行である。しかし、冬の長春吉林省はどこもみるところがない。それでもできるだけ行くことにした。予定の入っていない12月13日の週末から出かけるつもりだ。1月24日の帰国時まであと8週間しかない。
 12月1日そんなことを考えているところへ、4日土曜日に長春日本人会の忘年会に行かないかと誘われた。もちろん、即座に出席の返事を返した。金安大飯店ホテルで会費は150元(1950円)。300人日本人会員の内200人程出席していた。商工会・教師会・留学生会の共催である。日本語だけ話す人の中でほっと安心して食べて飲んだ。同じテーブルに外務省職員で吉林大学に語学研修中の2人の青年がいた。終了すれば、そのまま大使館か領事館に配属になるということだった。
 やはり、12月は忘年会に限る。私は、学生と一緒の忘年会を積極的に企画することにした。今日は、卒論指導の4年生8人を対象に第1回目の忘年会である。