中国のテレビドラマ

イメージ 1  中国の日本語を専攻する大学生は日本のテレビドラマやアニメを盛んにみて日本語を勉強している。日本人のタレントや歌手のことをよく知っている。いまや中国は漢字ではなく簡体文字を使っている。そしてP音という特殊の発音だ。第1声から4声まであり、おなじ文字でもP音の違いで意味も異なる。木村拓也も(ム―シュン・ターイエ)といった具合でイメージが違ってしまう。
 国内放送は、ニュース・報道番組では政府・中国共産党を批判するような放送は一切流れない。だから、NHKの国際放送で例の漁船衝突事件の時も、日本側の報道のときには突然放送が遮断される。また、昨年のノーベル平和賞劉暁波氏の報道もそうだった。国民に違った意見、異なる見解を見聞きする権利はないのだ。こんどの高速鉄道の事故についても同じことが言える。鉄道、航空についても同じことが言える。公共的企業の幹部への賄賂、政府・党官僚への賄賂は凄いものだと聞く。実態はわからないが、入学、就職に関することまでたくさん聞こえてくる。軍隊の幹部の子息や親族は優遇され、大学教授の子どもはあるていど大学院への入学では優遇されるとか枚挙にいとまがない。大学だけは、全国共通で大学ごとの入試でないので便宜は図れないのだという。
 私が驚いたのは、日中から夜にかけての中国のテレビドラマの内容だ。いまでも水戸黄門など時代劇で勧善懲悪もののドラマは影が薄くなったけれどもあるにはある。しかし、中国では日中戦争終結後66年たった今でも、テレビドラマのほとんどが抗日戦争のときのドラマなのだ。手を変え品を変え、日本=悪(侵略者)であり、中国=善(抗日で最後に勝利する)という図式である。
 これを繰り返し見させ続けられたら誰だって反日の感情をいだくはずだ。中国人に娯楽はほとんどない。朝早く老人たちが公園に集まって太極拳をやるくらいだ。あとは皆、家で電気もつけないでテレビを見ているだけだ。
 今日8月6日は広島に原爆が投下された日。66回目の慰霊祭だ。奇しくも、同じ日に黒竜江省の方正県に建立された満蒙開拓団の慰霊碑が反日団体の抵抗にあって、撤去されたというニュースもあった。あれだけ満洲事変や南京大虐殺などのテレビ番組を連日見ていれば誰だって日本にいい感情を持つ人はいない筈だ。中国にとっていまだに日本は侵略者であり、加害者なのだ。日本が原爆投下のアメリカを毎年この日と8月9日の長崎をもとに暗に非難しているのと同じだ。
 広島長崎の教訓をもとに核廃絶を世界に求め、あわせて脱原発に大きく舵をきろうとしている日本と核を保有し、北朝鮮を楯にアメリカの対抗軸を明確にする中国は原発推進に大きく傾いている。
 写真は、2011年の青森の大型ねぶたである。