人生下り坂の男はまだ中学二年生

 S先生への手紙。
 「禁酒も可能です。私は48歳で、物書きになりたくて、人生をやり直すことにしました。96歳まで生きようと、30歳でタバコを先生と同じく止めましたが、先生と同じ理由で酒だけは一人では止められませんでした。酒に強いといわれ、酒が旨いと思い、酒を飲むと勇気が湧いてくるからです。
 それでも、ときどきは、アルコール性肝炎の疑いだとか、通風の痛みだとから、酒を休んだことはありましたが、その都度、復活させてきました。
 しかし、昨年、11月にいままでに経験したことの通風の発作に襲われ、12月から人生で最初の、付に1度でしたが病院通いが始まりました。後半人生のまだ14年、すなわちまだ中学二年生です。いまだったら取り返しがきく、と医者に諭され、3月から禁酒を断行することにしました。5月の検査結果は、血糖値が104、血圧も130~82とこれまでになく安定しています。それで気をよくした私は、体重75キロまであと16キロ、毎月2キロ減量として、今年いっぱいの減量作戦と禁酒を併行して行うことにしました。
 おそらく肉体改造に成功すれば、通風に始まり、糖尿病、腎臓疾患という病魔を一掃できると確信し、残りの34年間を充実して過ごすことにしたのでした。
 この三ヶ月弱、一滴もアルコールを口にしていません。オールフリーのビールの味もわかるようになりました。人との付き合いも、ノンアルコール飲料で何不自由なくできるようになりました。
 さて、先生は後半人生はどのような計画なのでしょうか。お聞かせいただければ幸いです。」