論語第1篇「学而第一」の第三章「巧言令色鮮し仁」

今日の論語は、第1篇「学而第一」の第三章「巧言令色鮮し仁」です。
 これの漢文原文はこうです。
 「子曰、巧言令色、鮮牟仁」
 これの読み下し文はこうです。
 「子曰く、巧言令色鮮(すくな)し仁。」
 簡体であらわすと本文はこうです。
 「巧言令色(qiao yan ling se),鲜矣仁(xian yi ren)」

 この章は人の外面を飾ることの戒めを説いたもので、その意味は、こうです。
 「言葉巧みに、外見を装って人を悦ばせようとすれば、己の本心の徳がなくなってしまうものである。」
 巧言;口先だけで言葉巧みに人を悦ばせようとすること
 令色;顔色を良くすることによって、すなわちおかしくもないのに笑ったりして、人に諂うことをいう。
 鮮し;少ないというより、余裕を持たせた表現で、絶無に近い表現。
 仁;孔子が提唱した道徳観念。礼にもとづく自己抑制と他者への思いやり。忠と恕の両面をもつ。以来、儒家の道徳思想の中心に据えられ、宋学では仁を天道の発現とみなし、一切の諸徳を統(ス)べる主徳とした。封建時代には、上下の秩序を支える人間の自然的本性とされたが、近代、特に中国では、万人の平等を実現する相互的な倫理とみなされるようになった。(広辞苑