今日の論語一日一章「視其所以、「観其所由、察其所安」

 今日の論語一日一章は、第2篇「為政第二」の第10章「視其所以」(其の為す所を視)です。
 この章の漢文原文はこうです。
 「子曰、視其所由、察其所安、人焉痩哉。人焉痩哉。」
 これの読み下し文はこうなります。
 「子曰く、其の為すところを視、其の由る所を観、其の安んずる所を察すれば、人焉(いずく)んぞ痩(かく)さんや、人焉んぞ痩さんや。」
 また、中国語簡体表記はこうなります。
 「子曰,视其所以,观其所安,人焉廋哉。人焉廋在。」
 この章の日本語訳はこうなります。
 「孔子は言った。人の善悪を知るには、まずその人の行為をしらべてみる。もし、その人の行いが善であるならば、次にその行為の動機を注意してしらべてみる。もし動機が善であるならば、さらに善を楽しんでいるか否かをよくしらべてみる。善を楽しむ人ならば真の善人である。この三つの手段によって、人を観察するならば、人は決してその善悪を隠して知らせないようにすることはできない、と。」
 ここで、語句の解説はこうです。
 其の;観察される人をいう。
 以(な)す;為すに同じ。
 視る;普通に意を用いてみること。
 由る所;動機をいう。
 観る;視よりは詳らかに看る。
 安んず;楽しむ。
 察す;ますます詳らかに看る。
 痩(かく)す;隠す。
 この章は、孔子が人を見る法を述べたものです。
 第1篇「学而第一」の第16章で「人を知らざるを患(うれ)ふ」とありましたが、人の善悪を知ることは、己を修むる上にも必要なことといえます。