1881年9月25日

 1881年9月25日、魯迅(周樹人)は中国浙江省紹興に生まれた。今年は生誕130年周年であった。私は7月14日北京の魯迅記念館を訪れた。そこで、中国北京の「生活・読書・新知」書店と日本の平凡社の合同編集による生誕130周年記念出版の中日語訳「魯迅箴言」を買った。
 今日の魯迅箴言は、「同是人類」である。
 「 同是人類、本来決不至于不能互相了解、
  但時代国土習慣成見、都能够遮蔽人的心思、
  所以往往不能鏡一般明、照見別人的心了。」
 「 ともに、人類、お互いに理解し合えないはずはない。
  だが時代や国土、慣習や先入観が人の心を蔽い隠し、
  鏡に映るようにはっきりとは、他人の心が見えないことが多い。」
 魯迅が言うように、本来、人類は互いに理解し得ない筈はないのだ。しかし、有史以来の長い歴史をみても、それぞれの時代や国土の違いによって、人類が生き延びるために培った慣習の違いや、他の民族や文化、風習に対する先入観が人の心を厚いベールで蔽い、結局他人の心が見えなくなってしまう、と魯迅は語る。
 時代を超え、民族・国土の違いを超え、因習や慣習に囚われることなく、あらゆる差別や先入観を取り去ることによって、人類は互いに理解し合える、そうした世界が実現されるべきであり、平和で希望に満ちた人類がこの地球上に生存し続けることができるはずだ、というのだ。
 そのためにも、人は他人を軽蔑したり、憎悪したり、抑圧したり、恐怖したりしていけないのだ。ましては殺人はもっとしかりだ。人を差別し、軽蔑することは、殺人の始まりだということを肝に銘じなければならぬ。