今日の箴言「假使世界上真有天才」

 魯迅は文学作品について、悲劇は人生の価値あるものを破壊し、喜劇は人生の価値なきものを引き裂くものだと規定し、そのうえで、悲壮も風刺も必要で、それはみな破壊性に起因するといっている。
 
 今日の魯迅箴言は、「假使世界上真有天才」(もしもこの世界に真の天才がいるとしたら)です。
 「假使世界上真有天才,
  那么,谩骂的批评,于他是有损的,
  能骂退他的作品,使他不成其为作家。
  然而所谓谩骂的批评,于庸才是有益的,
  能保持其为作家,不过据说是吓退了他的作品。」
 これの日本語訳はこうです。
 「もしもこの世界に真の天才がいるとしたら、
 悪罵の批評は、彼にとっては不利であり、
 その作品をしりぞけさせ、作家になることを阻むだろう。
 だが悪罵の批評は、凡才にとっては有益で、
 彼に作家の面目を保たせる。
 悪罵のせいで作品ができなかった、というわけだ。」
 ここで魯迅は、真の天才がこの世界にいるとしたら、彼にとって不利な悪罵の批評が彼の作品をしりぞけさせ、結果として彼が作家になるのを阻むだろうし、その悪罵の批評が凡才の作家には有益に働き、悪罵のせいで作品ができなかったと、彼の面目を保たせる結果になるのだと言っています。
 今日の語句・語彙はこうです。
 もしも;假使 jiashi
 世界;世界 shijie
 真の;真 zhen
 天才;天才 tiancai
 それこそ;那么 name
 悪罵;谩骂 manma
 批評;批评 piping
 にとって;于 yu
 損;损 sun
 退避する;吓退xiatui
 だが;然而 raner
 所謂;所谓 suowei
 凡才;庸才 yongcai
 有益;有益 youyi
 保持する;保持 baochi
 作家;作家 zuojia
 退避する;吓退 xiatui
 というわけだ;据说 jushuo