2月12日、油画の極彩色や春の宿

 小学校の同級生に藤田喜久さんというひとがいます。頭のいい人で、北大の化学を専攻したはずだったが、家業の酒と雑貨の店を継いでいるひとです。
 彼女と去年の12月に新町で偶然会いました。一昨年にもらった彼女の歌集がみずみずしさがあふれていて良かったと礼をいいました。そのときに「もう一冊だしたので、良かったらあげるわ」と言われたのを思い出し、新町の事務所からの帰りに長島の彼女の店に寄ってみました。
 喜久さんは店の奥の火燵に入って店番をしていましたが、元気そうに「やっぱり来たのね」と立ち上がって、階段の下に置いてあった包みごと歌集を渡してくれました。
 今年に入って、三冊贈呈を受けました。吉崎宏一さんの詩集、吉田州花さんの川柳句集、それに藤田喜久子さんの歌集です。家に帰って、三冊をならべて、心が温まるのを憶えたのでした。
 表題の句は、陸羯南から「小日本」の発行と編集を任された子規が、当時はまだ無名だった中村不折を挿絵に迎え、評判になったころのことを綴った句です。
 なかむら‐ふせつ【中村不折
 洋画家・書家。本名、鈼太郎。江戸生れ。初め南画を学び、のち小山正太郎らに洋画を学ぶ。渡仏してローランス(J.P.Laurens 18381921)に師事。帰国後、太平洋画会で活躍。歴史画を得意とした。また、六朝書道を研究、書道博物館を創設。(18661943)

 今日の魯迅箴言365日は、箴言216です。
 将生存两间,角逐列国是务,其首在立人,人立而后凡事举;若其道术,乃必尊个性而张精神。
 Jiāng shēngcún liǎng jiān, juézhú lièguó shì wù, qí shǒu zài lì rén, rén lì érhòu fánshì jǔ; ruò qí dào shù, nǎi bì zūn gèxìng ér zhāng jīngshén.
 「まさに天地の間に生存して、列国と競争していくには、まず第一に、人間を確立することが大切である。人間が確立して後、はじめてあらゆる事がその緒に就くのである。而して、その方法としては、何より個性を尊重して、精神を作興することが必要である。」

 今日の論語一日一章は、論語15-25(論語巻第八 衛霊公第十五篇 25章)です。
 子曰、吾之於人也、誰毀誰譽、如有所譽者、其有所試矣、斯民也、三代之所以直道而行也、
 Zǐ yuē, wú zhī yú rén yě, shuí huǐ shuí yù, rú yǒu suǒ yù zhě, qí yǒu suǒ shì yǐ, sī mín yě, sāndài zhī suǒyǐ zhídào ér xíng yě,
 (子曰,吾之於人也,谁毁谁誉,如有所誉者,其有所试矣,斯民也,三代之所以直道而行也,)
 「子曰わく、吾れの人に於けるや、誰(たれ)をか毀(そし)り誰をか誉めん。如(も)し誉むる所の者あらば、其れ試みる所あり。斯の民や、三代の直道にして行う所以なり。」
 (孔子がいわれた、「わたしは人に対して、誰にでもむやみに毀(そし)ったりほめたりはしない。もしほめることがあるとすれば、それははっきりためしたうえのことだ。今の人民も(あの理想的な夏・殷・周)三代の盛時に真っ直ぐな道に従って行っていた人々と同じだ。(軽々しく毀誉をはさむことはできない。)」と。)