「論語」の子路13篇につぎの章があります。
(09-12)「 子貢曰。有美玉於斯。韞匵而藏諸。求善賈而沽諸。子曰。沽之哉。沽之哉。我待賈者也。」
これの読み下し文は以下の通りです。
「子貢曰く、ここに美玉(びぎょく)あり。匵(ひつ)に韞(おさ)めてこれを蔵(ぞう)せんか。善賈(ぜんこ)を求めてこれを沽(う)らんか。子(し)曰(いわ)く、これを沽(う)らんかな、これを沽らんかな。われは賈(こ)を待つ者なり。」
これの日本語訳は岩波文庫「論語」によればこうです。
―子貢がいった、「ここに美しい玉があるとします。箱に入れてしまいこんでおきましょうか、よい買い手をさがして売りましょうか」先生は言われた「売ろうよ、売ろうよ。わたしは買い手を待っているのだ」と。
この章は、子貢が孔子に仕官の気持があるのかたずねたときの比喩の章です。