2011-01-01から1年間の記事一覧

戊戌の政変から辛亥革命まで

中国での教え子の卒論のテーマに「戊戌変法と明治維新」を選んだ四年の女子学生がいた。彼女は歴史が好きで、日中の比較政治史を専攻するために大学院志望であった。同じ長春にある東北師範大学に進学することを目標にしていた。 中国では変革とか政変のこと…

天安門広場の水

中国では生水は飲めない。それに比べ、青森の水道水はそこらのミネラルウォーターよりはるかに美味い。夏は、魔法瓶に冷蔵庫でつくった氷を入れ、それに水道水を注ぐ。1分後のそれを飲む。とても冷たくてうまい。咽越し爽やかだ。生きた心地がする。 しかし…

満州とは、ああ満州、あれも満洲、これも満州

満州とは、広辞苑によれば「まんしゅう【満州・満洲】‥シウ中国の東北一帯の俗称。もと民族名。行政上は東北三省(遼寧・吉林・黒竜江)・内蒙古自治区にわたり、中国人自身は一般に東北と呼ぶ。」とある。インターネットのウィキペディアでは「満州(満洲、ま…

中国の祭り

中国には日本の夏祭りのような祭りはないらしい。私の知る限りでは、旧暦の正月の春節、10月1日の国慶節くらいで、旧暦8月15日の中秋節にしても、祭りといえるかどうかあやしい。 学生たちに、青森のねぶた祭の写真をみせて、ねぶた囃子にあわせて踊ってみ…

中国のテレビドラマ

中国の日本語を専攻する大学生は日本のテレビドラマやアニメを盛んにみて日本語を勉強している。日本人のタレントや歌手のことをよく知っている。いまや中国は漢字ではなく簡体文字を使っている。そしてP音という特殊の発音だ。第1声から4声まであり、お…

夏目漱石の『三四郎』のなかでの満洲

漱石の『三四郎』は、明治41年(1908年)の9月1日から12月29日まで朝日新聞に連載された小説である。 この小説は、旧制熊本高等学校を卒業し、東京帝国大学に入学するために上京する車中から始まる。そして、上京して帝大生となった三四郎が東京で新しい知…

魯迅博物館で3冊の本を買う

北京の魯迅博物館を拝観した記念に三冊の本を購入しました。 一冊目は、「魯迅箴言」(=「魯迅の言葉」)です。この本に大江健三郎が「『魯迅箴言』に寄せて」と題して、序文を寄せていますので、紹介します。「魯迅の小説・エッセイの一篇、一篇は、世界の…

北朝鮮の実態

今回の中国の旅でいかに中国と北朝鮮が近い国であるかがわかった。鴨緑江という河は長白山に源を発して、南西に流れて黄海に注ぐ、朝鮮第1の長流である。川が国境であり、河の対岸は北朝鮮なのだ。 4世紀に高句麗の丸都城があった集安市の東端を流れる鴨緑…

中国の高速鉄道

中国のバブルを象徴するのが高速鉄道網の整備です。2010年12月時点で、中国には世界一長い8358Kmの高速鉄道網があり、そのうちの2197Kmは世界最高の営業速度である時速350Kmに対応しているとされています。近年、中国では高速鉄道路線の建設が盛んで、2008年…

中国の交通・住宅・教育事情

中国の道路交通は最悪だ。道路にまで人があふれ、人口が多い分に道路が整備されていないのに、とにかく人民元を乱発しているバブルの中国にあっては、人並みの生活といえば、ローンで平均3LDKの6階建てのマンションの1室を買い(長春の郊外で50万元か…

北京と長春のカバ

北京動物園では一頭のカバしか見ることはできなかった。室内のブールからあがったカバは、そのまま戸外の岩場に移動して、ざぶんとプールに黒ずんだ巨体を沈めた。そして、観客の期待にこたえて、上半身を岸にあげると、大きな口を開け、防護柵の手前の笹を…

長春に三泊

このたびの旅で、昨年四カ月を過ごした長春には三泊した。9日、大連国際空港の国内線ロビーで目撃したゲート前の地上係員につめよる乗客達の激しい行動は、中国浙江省温州市で7月23日に起きた高速鉄道事故の原因究明を求める遺族の抗議の挙動と同じであっ…

魯迅博物館

今回の中国の旅で、私にとって一番の収穫であり、望外の喜びだったのは、北京で天安門広場から故宮博物館の横に抜けて、タクシーを拾って北京動物園に向かう車中で「魯迅博物館」を見つけたことだった。その日は午後いっぱい動物園にいる予定を変更したのは…

清の時代と故宮

中国の旧満州、すなわち東北三省で華北地方に一番近いのが、遼寧省であり、そこの省都が瀋陽です。今の中国の簡体での名前は、沈阳と表記します。東北三省の省都のなかでひときわ都会的な雰囲気の瀋陽は、准高速鉄道で北京まで4時間弱という距離(7百キロ…

満洲の浪漫

四世紀といえば、中国の東北地方、満洲の歴史の中でツングース族が起こした北朝鮮まで一帯の王国があり、その名を高句麗といったようです。平壌へ遷都されるまで、首都だったのが集安であり、そこに好太王の石碑があるのです。その石碑は高さ6メートルにも及…

瀋陽とはどんなところ

瀋陽は古い町です。市名の瀋陽は「瀋水の陽」という意味で、市内南部を流れる渾河の古名である瀋水の北に位置することから瀋陽と名付けられたといわれています。その歴史は大変古く、いまから7200年前にすでに定住集落があった(新楽遺跡)ことが知られてい…

瀋陽と北京の故宮博物館

13日の午後の電車で北京へ発つ前に、瀋陽の故宮博物館に行ってきました。切符を買って、手荷物を預けたのが、10時を少し回っていました。12時50分発ですから、せいぜい12時までしか観覧の時間はありませんでした。タクシーで博物館に着いたのは、10時20分で…

集安の食の思い出

北朝鮮と鴨緑江で国境を接する高句麗の古都集安には10日の夕方に着いて、12日午前11時20分の瀋陽(旧奉天現沈阳)行き長距離バスに乗車するまでの二泊三日の短い滞在でした。集安には教え子の娄さんが案内してくれて、娄さんの父が市内中心部の中央公園向か…

台風来襲前夜、成田に到着

帰国する18日の朝、張さんが10時きっかりにホテルに迎えに来てくれました。チェックアウトのあと、彼女は通りまで出てタクシーを拾いに走り、ひと呼吸する時間でタクシーの助手席に乗り、ホテル前まで私を迎えに来てくれました。ここまではすべて順調でした…

中国で忘れ物をみつけた最後の夜

9日に大連に到着して中国に足を踏み入れてから、早いものでもう17日がやってきてしまい、今夜が最後の夜となりました。私はいま大連の駅わきの三つ星ホテルの十九階の部屋でひとりパソコンに向かっています。 今回の旅は乗り物との戦いの連続でした。飛行機…

福島第一原発事故で日本は滅びる

漱石が約百年前に「三四郎」で予言したとおり「日本は滅びる」ことの現実が、3月11日の大震災と福島第一原発事故によって起こりつつあります。これを何とか阻止することができるのは「脱原発」しかありません。その意味で、菅首相に頑張ってもらいたいし、…

集安にて

私はいま、中国遼寧省の省都瀋陽に来ております。これで、旧満洲国に属していた東北三省の省都(黒竜江省の哈尓濱、吉林省の長春、そして遼寧省の瀋陽)を全部みることができました。 10日から昨日まで紀元前3~4世紀に高句麗の都だった集安(大王陵と好…

成田→大連→長春→集安(中国再訪日記1)

私は、8日の午後、何も準備のないまま、飛行機に乗り込みました。一時は、JALに120回、ANAに80回以上年間乗りつくして母の遺産をなくした私でしたが、いまは浪々の身、しかも退職金の半分をプリウスの購入と拙宅の屋根に太陽光パネルを設置したのに要したた…

大連に発つ前日、友人夫婦と娘に会う

9日5時半に起床した私は、京成成田駅前のアパホテルを出発し、成田空港第2ターミナルまで、ホテルの無料バスに乗りました。朝の9時台のフライト予定の6時40分発のバスには、観光旅行らしい女子大生の二人組の他はみなビジネスマンのようで、私が一番…

庭のナナカマドも散り梅雨空です

青森市の誤謬は、3月11日の大震災の被害はなく、市民に被災者はいないと規定したことであります。今回の高速道路無料(6月20日から1年間)という国交省の通知の「被災者支援」適用に当たり、「青森市に被災者はいない」にもかかわらず、「大震災で被災し…

平内も全町民へ被災証明の発行

平内町に住む友人からもメールで、今朝の町の広報で、免許証と印鑑があれば、被災証明を発行すると放送があり、さっそく役場に行って手続きしてくるそうです。 近隣の町村が停電でも被災証明を出すといっているのに、なぜ県都の青森市が発行しないといいはる…

日光キスゲとノノハナ菖蒲

私は7月3日に八戸の種差海岸に行きました。そこで、海岸に群生する日光キスゲとノノハナ菖蒲の黄色と紫の花々に見とれた。百十日ほど前に押し寄せた大津波が嘘のようでした。しかし、その傍らには波になぎ倒された松の木の残骸があの日の惨害を物語ってい…

トルコ桔梗を薔薇に見紛う

息子の名刺を頼まれたのを機に、自分の名刺もつくることにしました。慣れない作業を始めたためか、朝6時からとりかかって昼過ぎまでかかってしまいました。つい、うっかり午後からの会議に出席する予定を失念してしまいました。息子の名刺はフォルムとフォ…

北狄355号「三内の家」できあがる

少し遅くなりましたが、6月30日に北狄355号所載の「三内の家」が届きました。書いたときは、いい作品に仕上がったと満足していたのですが、刷り上がった同人誌を手にとって読み直してみると自分の欠点ばかりが目についてほとほと情けなくなります。 そもそ…

埋没林、ニッコーキスゲそして夜光館とナナカマド

歴史の重みを感ずることが多い。私のいる浪館前田は三内丸山遺跡の岡の下に位置している。三内丸山は五千年前の縄文時代の集落の遺跡だ。十九日にみた木造の西海岸七里長浜にある出来島海岸は海岸段丘だが何と二万八千年前の最終氷河期に水没した埋没林の根…